祝島−熊毛郡上関町−
家人は帰り早来と祝島 斎ひまつらむ旅行くわれを
<万葉集 巻15 3636 遣新羅使>
天平8年6月(736年)、熊毛の浦を出航した遣新羅使一行は、雑石瀬戸を抜けると怖い
佐波
(
さば
)
の
海中
(
わたなか
)
(周防灘)を往った。
祝島は、周防灘の東端にある島(佐合島(手前)の上にある島)。家人が
斎
(
いわ
)
って待っていてくれるだろうと、不安な気持ちを歌に滲ませる遣新羅使。
雑石瀬戸を抜け筑紫に向け周防灘を往く遣新羅船。しかし、船は、逆風に遭ってたちまち漂流。一行は、豊前国下毛郡
分間
(
わくま
)
の浦(大分県中津辺り)に漂着するのである。
熊毛の浦を出航し、周防灘で漂流し、筑紫の
館
(
むろつみ
)
に至るまでにはや艱難を味わった遣新羅使一行。歌8首が万葉集に収録されている。海難の恐怖や妻を恋う歌などどれもか弱く、ただただ航海の不安を滲ませるものばかりである。−平成18年5月−
遣新羅使詠歌(万葉集)
暗峠越えの道
家島
多麻の浦
鞆の浦
長井の浦
風早の浦
倉橋島
麻里布の浦
大島の鳴門
熊毛の浦
祝島
鴻臚館跡
荒津の崎
唐泊
引津の泊
神集島
壱岐・原の辻遺跡
対馬の運河
対馬・竹敷の浦
参考:(磐国山)